アバウト日本海|05.新潟

日本海地域をGRAYSKY的視点で、ざっくりアバウトにお伝えする「アバウト日本海」

5回目は、新潟県のご紹介です。



新潟県の人口は、2,222,004人(2019年10月1日現在「都道府県 市区町村」サイト調べ)




村上木彫堆朱

最北端に位置する村上市で作られている漆器。堆朱の「堆」には「重ねる」という意味があり、繊細な彫刻を施した木地に天然の漆をなんども塗り重ねて仕上げることからきています。初めは落ち着きのあるくすんだ色味ですが、使い込むほどに艶が出てきて飽きがこないところが魅力です。


越後三条打刃物

三条市の鉄の歴史は、江戸時代に農家の副業として鎌や鍬を作ったところから始まったとされています。その長い歴史を生かした高い技術力は、製品を作るための道具まで職人が一貫して作ることができるところからも伺えます。2013年から燕市と合同で開催している「工場の祭典」という工場見学イベントは職人たちの手仕事を間近で見ることができる貴重な機会となっています。


小国和紙

県の中央に位置する長岡市の小国地域では、雪を利用した和紙の生産が盛んです。漂白の工程では雪の上にコウゾの皮を並べておき、漉いた紙は雪に埋めて春が近づくまで保存しておきます。雪国ならではの製法で作られた小国和紙は、他の産地の和紙には無い丈夫さと実用性を兼ね備えています。



枝豆

実は枝豆の消費量・作付け面積が全国1位の新潟県。あまりに美味しいので、自分たちで作った分のほとんどを自分たちで食べてしまうため全国にあまり流通しない、なんて話もあるほど。品種も多く、「黒崎茶豆」「おつな姫」「湯上り娘」など時期によって様々な味を楽しむことができます。


イタリアン

長岡市から新潟市にかけての地域では、ソース焼きそばにミートソースがかかった料理を「イタリアン」と呼んでおり、B級グルメとして親しまれています。意外な組み合わせなのですが、何度か食べるとクセになってくる不思議な美味しさです。ちなみに県内には「みかづき」「フレンド」という二つの大きなチェーン店があり、県民の中でも「みかづき派/フレンド派」が分かれているとか。


タレカツ丼

新潟市内のとんかつ専門店では、「カツ丼」といえば、卵でとじずに醤油だれにくぐらせたカツを乗せたものがメジャー。タレがご飯とよく合い、カツが薄めなのでサクサク食べることができます。



雪国(小説) 

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」という冒頭の一説で知られている川端康成の恋愛小説。川端康成が実際に南魚沼郡の湯沢温泉を訪れた経験を元に書かれており、執筆活動を行なった現地の宿の部屋は現在も保存されています。


この空の花 長岡花火物語(映画) 

故・大林宣彦監督のセミドキュメンタリー映画。2012年公開。長岡市を訪れた新聞記者の女性が、現地での出会いを通して空襲や地震に立ち向かってきた長岡の様子を知っていく物語です。


めぞん一刻(漫画) 

高橋留美子作のラブコメディ漫画。古いアパート「一刻館」に住む浪人生・五代裕作とアパートの管理人である音無響子を中心に、個性的な住人とのやりとりが描かれます。主人公の五代裕作は新潟市出身の設定で、アニメ版には新潟駅が登場します。作者の高橋留美子も同じく新潟市出身です。



今回は、私が学生時代に4年間住んだ新潟県をご紹介しました。


太平洋側で生まれ育った自分にとっては、新潟の長い期間続く曇り空はかなり新鮮で、新潟生活で一番印象に残っていると言ってもいいかもしれません。


取り上げた中には、学生時代に親しみのあったものも多くあります。記事を書いていて、それらが新潟の気候によって育まれたことがよくわかり、より愛着が湧きました。雪国での暮らしは大変なことも多かったですが、そこでしか生まれないものや文化があると思うと灰色の空や真っ白な地面も悪くないなあと感じます。


東京から新潟市までは新幹線で2時間、長岡市までは1時間半とアクセスも良いのでまたいつかふらっと足を運んでみたいです。


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文と絵:阿部初音